久しぶりにCDレビューを1つ。
96こと黒沢ダイスケのソロから『BLACK ALBUM 2』を。
黒沢氏のことは彼が学生の頃に結成した軌道共鳴の頃からのファンだが、ずっとブレずに超絶技巧系プログレハードの道を突き進んでいる印象。
技巧派系のバンドのレビューには時として「上手いだけ」「味がない」みたいな評価が付きがちだが、私は昔から彼の作る曲は「上手くてカッコイイ」と思っている。このカッコイイが大事。
何曲か抜き出して紹介する。
1曲目の『INSPION』は彼がコナミ時代に手掛けた『一網打尽』を思わせる曲。
いやー、ギタドラやってたからね私。大好きだったけどラスボス曲なので難しかった。(実際に『一網打尽』をベースにしているのは『BLACK ALBUM 3』に入っている『GIGA DRIVE』という曲の方みたいだ)
それはさておき、1曲平均2分弱、ロングバージョンとされるものでも4~5分程度にまとめなくてはいけないという制約の中で仕事をしていたコナミ時代の経験が、こういうコンパクトだけど起承転結がはっきりした曲を書くトレーニングになってたんじゃないかしら?
ちなみにタイトルのINSPIONは彼らの音楽制作集団の名前でもあり、これは社歌なのだそうだ。インストだけど。みんな自分のパートしか演奏できない(多分)社歌って・・・
4曲目は軌道共鳴時代からの盟友上田哲也が書いた『Agartha』。1~3曲目までゴリゴリに押しまくる内容だったが、ここで少し落ち着く、ような、印象を受ける。が、あくまで印象。彼らがそんな自らを楽にさせる曲を書くわけがないのだ。
往年のプログレから影響されて書いたとあるように、なんとなくBOSTONあたりのジャケが思い浮かぶ(あくまでジャケ)雰囲気。スペーシィ。
続く『El Nino』はタイトルからも想像できるが、南国の暑い国をイメージしたのであろう。突然のラテンテイストに不意を突かれるが、音数も多くてヘヴィなラテンだ。
考えてみるとT-SquareやCASIOPEAなどの技巧派フュージョンバンドも結構ラテン系には手を出しているし、この界隈の人達からするとたまにやりたくなるテーマなのかも。楽しいしね。
キーボーディストの池尻喜子さんが書いた『Yakudoshi』は、このアルバムの中では「ハード」の冠が付かない1番プログレっぽい曲かなと個人的には思う。
その往年感の割にややテンポは早めで、アルバムの中でのバランスは上手く取れているけれども、もっとどっしりしたアレンジでも聴いてみたいと思った。
締めの曲は『D.N.A.(Revisited 2018)』。
全てはここから始まった。この曲がドリームシアターのコンテストに出されたのって何年前かしら?
2018年版ということで細部に手が入って入るものの、全体像は変わっていないし、これだけの曲をあの当時すでに書き上げていたのかと改めて驚きの感情が。
アルバム通して聴くと、この曲が1番ゆっくりしている。目が回るような鬼手数系の曲でお腹一杯になったところで、最後に最もコッテリしたやつを持って来るって感じ。
聴くだけで筋肉痛になりそうな1枚だが、全部聴いた後は筋トレをした後のような心地良い爽快感も味わえた(笑)