【東日本大震災】ライブハウスと節電 その2

昨日の記事の続き。
とにかく節電に関してこちらの考えが正しいのかどうか確かめる必要があったので、どうにかして情報を手に入れられないかと頭を捻っていたが、一段落したところで当たり前のことに気がついた。東京電力に直接問い合わせればいいじゃない。

そんなわけで、東京電力に行って話を聞いてきました。

節電について、東京電力からの回答

聞いた話を簡潔にまとめると、

  • 現在、関東から東北への電力融通は行っていない。そんな余裕は全く無い
  • 計画停電は100%、関東の需要を満たすために行っている
  • 電力は作り置きができないので、深夜の節電にあまり意味はない
    • 深夜帯は企業などの大口利用者も営業していないところが多い
    • 一般家庭は就寝のため電力消費が減る
  • 節電するなら日中にしてもらえると有難い

この情報を証明するような資料は残念ながら手に入らなかったが、東京電力に問い合わせれば答えてもらえます。ただし電話で問い合わせると、たらい回しにされて時間がかかる可能性あり。だいぶ電話回線も落ち着いてきたとはいえ長電話をするのは好ましくないので、どうしても気になるという人は直接東京電力の窓口に行って聞いてみてください。

電力不足の状況下でライブをやるには

今回わかった事実を鑑みて、我々音楽を発信する側の人間が取る方策が見えてきたように思う。

まず第一に「被災地に送るために電力を娯楽などで無駄にするな」という不謹慎系クレームは、そもそも事実認識ができていないものなので、そこは理性的に事実を述べて対処しよう。

オールナイト公演ならできる?

そして、どうしても電力を多く消費するライブをやりたい場合は、現状ではオールナイト公演がベターだと思う。多くのライブハウスが密集する都心部は、元から計画停電の対象からは外れているので通常時間帯でもやれないことはないが、基本的に一般的なライブの時間帯(概ね19時前後から22時前後まで)は電力需要のピークと重なるし、やはり一抹の不安は拭えない。

その点、オールナイト公演の時間帯(概ね23時前後から翌5時前後まで)ならば、節電という観点のみで考えるならば全然問題ない。鉄道などの大口利用者が軒並み使用を停止しているので、10や20のライブハウスが電気を使ったとしても供給量を上回ることはまずあり得ないだろう。

しかし、それだけでは食べていけない…

勿論、これでライブハウスと節電に関する問題は解決!という訳にはいかない。

オールナイト公演はその性質上、基本的に週末か祝前日でないと営業が成り立ちにくい。ほぼ毎日営業しているようなクラブも存在するが、それはやはりクラブとしてそういうスタイルが成立しているところのみだろう。ライブハウスが「節電のために営業時間帯を深夜に移します」と言ったところで、出演者もお客さんも激減するだけだ。

ライブハウスがオールナイト公演だけで営業していくのは事実上不可能である。食べていくためには、やはりどうしても通常の時間帯にも営業する必要があるし、アコースティック系の出演者だけでブッキングを埋めていくのも不可能に近い。規模の大小を問わなければ東京だけで200以上もライブハウスがあるのだから。

大規模停電だけは絶対に防ぐという心構えを持つことが前提であるが、とにかく電力を多く消費する形態の音楽活動それを発表する場としてのライブハウス、この2つをある程度認めてもらわなくてはならない。しかし自分たちの要求を通すことだけしかしないというのは、駄々を捏ねる子どもと一緒だ。人より多く電気を使う分、得られた利益を他の形で還元できないかと考えることが社会の一員として取るべき立場だろうと思う。

社会のためにできること

正しい知識を広めよう

オールナイト公演のアイデア等は、言い方を変えれば非難をかわすためのものに過ぎない。それよりも先にやるべき大切な事がある。

それは、電気を使わなくては仕事ができない立場にある者として、ライブハウスやエレクトリックバンドのバンドマンたちが、自分のお客さんへ節電に関する正しい知識を広めていくことだ。まずは自分たちの周囲から誤解を招かない努力をする。そして話を聞いたお客さんが家族や知り合いにその話を伝えていくことで、音楽に全く興味のない層にまで節電に関する正しい知識が広まっていくなら、これは立派な社会貢献と言えないだろうか。

得られた利益をどう還元するか

何とか周囲の理解を得て通常ライブが行えるようになったとして、そこで得られた利益をどうやって社会に還元していったら良いのだろうか。昨日はエンターテイメント性のあるものが望ましいと偉そうに書いたが、結局いいアイデアはまだ浮かばない。やはりチャージやドリンク代から決まったパーセンテージを義援金などに充てるのが現実的な気がする。

後は個人的なアイデアになるが、DIY HEARTSのようなものを利用して何かできないだろうか?ただしこれは会社ぐるみの話になるので、俺だけではなんとも言えない。

とにかく動くべき材料を得ることができた。ならば動くしかあるまい。