アヴァン・ミュージック・ガイド序説

はじめに

2年近く前、「アヴァン・ミュージック・ガイド」という本のレビューをアップした。

この本を買ったのは何年も前のことだし、発行されたのはもっと昔(1999年初版)なのだが、自分にとってこれは今でも愛読書となっていて、何度読み返してみても自分の知らない世界がまだまだたくさん広がっているということを再認識させてくれる。1999年発行の本ですらそうなのだから、それから15年以上経った今なら、なおのこと未知の新しい音楽が多く生まれているはずだ。

そこでアヴァン・ミュージック・ガイドの最新版が発行されたと仮定して、そこに掲載されるであろう(というか掲載してほしいと自分が思う)ミュージシャンや音源を紹介してみることにした。

ちなみに、2013年にこのシリーズを思いついて、ある程度書き溜めたら徐々に公開していこうと考えていたのだが、根がぐーたらの私は締切がないと一向に筆が進まないので、とりあえず今まで書いたものを順次アップしていくことに決めた。

ニュー・ミュージックとは何か?

ともあれ、まずは「アヴァン・ミュージック・ガイド」がどのような内容の本だったかを簡単に説明しておかねばならない。以下、序章の言葉をそのまま引用する。

本書は、ニュー・ミュージックへのガイドブックである。
ニュー・ミュージックとは何か?
それはノンジャンル・ミュージックだ。どのジャンルにも分類できない音楽だ。
それはオルタナティヴ・ミュージックだ。音楽の「正道」からはずれた音楽だ。
それはマイナー・ミュージックだ。少数者による少数者のための音楽だ。
それはポストモダン・ミュージックだ。モダン・ミュージックの終焉後の音楽だ。
それはニュー・エージ・ミュージックだ。60年代を通過した新しい意識の音楽だ。
それはニュー・エッジ・ミュージックだ。ニュー・エージなんてちゃんちゃらおかしい、エッジのある音楽だ。

アヴァン・ミュージック・ガイド(柴 俊一・他)P8 より

とまぁ色々な言葉が羅列されているのだが、この後に「以上の形容はどれもポイントをついているが、どれも一面的である」と続く。曖昧な表現しかできないもの、こういうものだと安易に定義づけできないものがニュー・ミュージックであるということだ。

こういうものは、そもそも定義づけしようとするのがナンセンスなので、実際に本文中でどんな人たちが紹介されているのかを見てもらった方が早いだろう。全てを書き出すと多すぎるので、独断と偏見でピックアップ。

  • ジム・オルーク
  • クリスチャン・マークレイ
  • 大友良英
  • カール・ストーン
  • スティーヴ・ライヒ
  • マイケル・ナイマン
  • ベン・ニール
  • デイヴ・ソルジャー
  • ジョン・ゾーン
  • 高柳昌行
  • ヘンリー・カイザー
  • デメトリオ・ストラトス

etc…他にもディスクレビューは山のようにあるし、音楽家個人ではなく、レーベルやスタジオを紹介している例もある。なのでこちらの方でも、なるべく手広い感じでカバーしていければと思っている。