コロナ禍、ライブハウスは独自に再開基準を作るべし

ライブハウスが生き残るために

新型コロナが猛威を振るい、緊急事態宣言が発出される中でライブハウスは窮地に立たされている。東京都が発表した活動再開ロードマップを見る限り、ライブハウスが営業を再開できる見通しはまだ立っていない。

店と従業員が生き延びていくだけの補償が継続的にされるのかどうかも分からない以上、一つの選択肢として、批判を覚悟で営業を再開する道も模索する必要があると思う。その際には、批判を100%抑え込むのは無理としてもできるだけ抑えられるように、感染対策をしながらどうやって営業していくのかという指針を、国や自治体に先駆けてライブハウス側が作るべきだろう。

理想としては、複数のライブハウスが連名で試案を国なり自治体なりに提出し、公的なものとして認めてもらうことだが、環境もハコによって違うので難しいかもしれない。全てのライブハウスが納得できる案を作ろうとするといつまで経ってもまとまらないので、まずはできる所からだけでもやっていく。そうやって一日も早く前例を作っていくことが大切だ。

具体的な感染対策

まずは全てのライブハウスが共通してできることとして、東京都の事業者向け「東京都感染拡大防止ガイドブック」に書いてあることは全部やろう。例えば…

入場者にはマスクの着用を呼びかける

これは義務化してしまっていいと思う。マスクしてない人は入場お断り。どうしても無いという人には入り口で1枚100円とかで売る。売るなんて阿漕なと言われるかもしれないが、そういう「ちょっとくらいいいじゃん」という意識の客がライブハウスに批判の種を持ち込むんだと解らせるためにも、それくらいした方がいい。

あと顔見知りのバンドマンで、酒が入るとすぐにボディタッチするってわかってる奴とか、この時期はお断りしてもいいかも。じゃなきゃ酒は1杯しか売らないとか。

非接触型の機器などで入場者の体温チェック

ただでさえ金がない時だけど、今これくらいの投資はしておかないと話にならない。こういう金をケチって営業再開が先延ばしになるよりは、再開するための投資をどんどんすべし。
同様にアルコール消毒液などもたくさん用意して、まずは受付で入場者全員に消毒してもらい、ドリンクカウンターやトイレ前にも設置。

ICTシステム等を活用し、整理券やオンラインチケットの販売、来場時の日時指定予約、時間制来場者システムや完全予約制の導入等による混雑の緩和

これも時間がある今こそやるべき改革だと思う。コロナが流行っているからというだけでなく、入場時のもぎり、ドリンク代の徴収などによるボトルネック問題は以前から言われていたはずだ。今これをやっておけば今後ずっと活用できるので、チケットの電子化はぜひとも着手すべきである。それこそSuicaとかで入場代もドリンク代も払えるようになったら、すごく効率化すると思うんだが。

収容人数は?

再開したらしたで密集を避ける為にどれくらい客を入れるかだが、言っちゃ悪いけど普段のブッキングイベントなんて元々大して客が入ってない所が大半だと思うので、公称キャパシティの10分の1~5分の1くらいでいいと思う。

一般的なキャパ200人程度のハコなら、20人~40人といったところ。で、間隔を空けて席を出し、ライブ中は移動しないようにしてもらう。パンクとかメタルとか、どうしてもオールスタンディングじゃないとカッコつかないライブだったら、床にラインを引いて皆にパーソナルスペースを離れないようにしてもらう。確かマキシマム・ザ・ホルモンが昔そういうライブをやってたので参考にするといい。

下北沢の440みたいに、ホールが1階にあって簡単に外気を入れられるようなハコの場合は、扉を開放した状態にして、なるべく音の小さいアコースティック系のイベントからやっていく。勿論その場合でも入場者数は制限する。

物販や動画配信について

お客さんにとっては大きな楽しみの1つである物販に関しても、少し厳しいルールを設けるべきだろう。ホール内ではなく入り口近くの換気のいい場所に移して、1人あたりの時間を決める。チェキや握手も当面は禁止かな。

あとはライブを動画配信するシステムを早く導入すべきだろう。既にあるってところは、とりあえず全ライブ配信してしまおう。(持ち込み企画等は要相談)

実際に入場してもらうお客さんに対しては、数が少ない分本当に手厚いサービスをしてお金を使ってもらうようにする。家で観る客に対しては有料配信ができるならそれでもいいが、配信はとりあえず基本無料でやって、アピール目的で使った方がいいと思う。ステージを映すカメラと、ロングショットで客席も入るカメラの最低2台用意しておけば、密を避けてやってますよという証拠にもなるし。

などなど、これくらいのことは皆とっくに考えているのかもしれないけれど、私もやきもきしながら動向を見守っている。お金はあまり出せないけれど、知恵を出せと言われたら私も出すので、どうか死なないでください。

おわりに

繰り返すけど、まずはできることからやって前例を作る。「うちはそんなことできねーよ」とか「俺らはそういうバンドじゃねーよ」とか文句言ってても始まらない。
結局最大のネックは防音と密閉の問題なわけだが、東日本大震災後にはよくアンプラグドのライブもやっていたわけだし、何もやらないよりはそういう形でもやった方がいいんじゃないかなと思っている。

ライブハウス盛衰ものがたり
《 この記事をシェアする 》
神保 新(じんぼ あらた)

東京都出身。日本工学院八王子専門学校コンピューターミュージック科卒業。
その後は音楽とは別の道へ進むが、再び音楽の世界になんらかの形で関わっていこうと決意。2007年より、都内のインディーバンドやアマチュアミュージシャンを中心としたライブのオーガナイズを始める。

数年前からクイズ熱が再燃し、たまにクイズイベントに参加したり、主催イベント内でクイズコーナーを設けたりもしています。

神保 新(じんぼ あらた)をフォローする
はぐレ企画