最近、CD買ってますか?

「CDが売れなくなった」とは、ここ2~3年で随分よく聞く話だ。渋谷のHMVも閉店してしまったし、過去を懐かしんで将来を悲観する声も多い。

私自身バリバリのCDユーザーで、未だにiPodも持ってないし、家でも音楽を聴く時はCDプレイヤーを使っているという前世紀の遺物だ。だが、その割にあまり周囲の悲観ムードに同調することもなく、むしろ自分自身の音楽ライフは以前から全然変化していないように感じている。

そんな折、ひょんなことから面白いインタビュー記事を見つけた。マニアックな品揃えを武器に、このCD不況の波もどこ吹く風といった調子で安定した営業を続けている、CDショップ「メカノ」店長へのインタビューだ。ぜひ読んでみてほしい。

HMVのように大型の店舗となれば、大量の商品を扱い、大量の人間を使い、設備投資にもそれなりに金をかけなくてはならない。当然大量に売ることが命題であるのに、大衆に流行を卸す媒体としてCDはすでに古びている。それでは経営が立ち行かなくなるのも必然。
(そんな中、ディスクユニオンは店舗ごとにジャンルを絞って小さなマーケットに特化するやり方で、メジャーショップの中ではかなり善戦していると感じる)

だがハード(メディア)としてのCDが時代遅れであっても、良いソフト(作品)を求める購買層に働きかけることができれば、まだCDは十分に商品としての価値を見出せるわけだ。メカノの店長のインタビュー記事はまさにそれを証明している。

実際、メカノに限らず、小さいながらも、いやむしろ小規模だからこそできる特化した方向性を持ち、結果的に業績も安定している店舗というのは他にも存在する。

そこで私がこれまで見てきた「オイシイお店」をここで一挙にご紹介したいと思う。ほぼ東京限定となってしまうため、地方に在住されている方にはあまり参考にならないかもしれないが、ご了承いただきたし。

国分寺 超山田堂(ちょうやまだどう)

メカノに匹敵する超マニアック店。CDやレコードだけでなく、Tシャツ、書籍、雑貨などがひしめき合う店内の雰囲気は実にカオス。もちろん純粋に音楽関連のアイテムを探すだけでもかなり楽しめる。日本のアングラシーンも結構押えられているので、そっち方面が好きな人にもぜひ足を運んでほしい。

しかもお店のあるビルの地下はライブハウス。ここで買い物を楽しんだ後に、生の音楽を堪能するなんてコースもありだ。

珍屋(めずらしや)

国分寺・立川・高円寺など、中央線沿線に店舗を構える老舗中古ショップ。
店舗ごとにそれぞれ強いジャンルを持っているのが特徴だが、基本的にどこに行っても何かしら大手ショップでは目にできないようなアイテムが見つかる。アナログ盤も必ず置いている。

私はここでBANCO(イタリアのプログレバンド)の貯金箱ジャケットのアルバムを発見し、狂喜したのが良い思い出だ。

恒常的にやっているかわからないが、土日は中古盤10%割引きなんてサービスもあったっけ。ちなみに新品は常に5%引きで、他にも買い物1000円ごとに100円割引きのスタンプをもらえる。ポイントを貯めなくても使えるのがいい。

RARE(レア)

国立・吉祥寺・高円寺・中野など、こちらも中央線沿線に展開している中古ショップだ。
箱詰め放題やら半額セールやら、定期的にイベントを催しているので、バーゲンを狙い打つ主婦のごとく、まずは情報をチェックする楽しみというものがある。逆にヤフオクやアマゾンなどでネットショップも展開しているので、出不精の人にもオススメだ。

品揃えの方もロック、ポップスはもちろん、メタル、パンク、ジャズ、クラシック、テクノ、エレクトロ、ヒップホップ、レゲエなど基本的なラインはほぼ押えてあるので、マニアでもフツーの人でも気軽に行けばいいじゃない!
イベントとは別に恒常的に全店舗で使えるポイントカードもあり。

COCONUTSDISK(ココナッツディスク)

クラブ系に強いお店。もちろん各ジャンル取り揃えているが、特にヒップホップ、テクノ、ブレイクビーツ、レゲエ、トランスなどといったジャンルには力を入れている。店舗内にターンテーブルを置いているのも特徴的。客層もDJ風な人物が多い。当然ながらアナログ盤もたくさん揃えている。

コメントが入っている商品も多いので、それを頼りに知らない作品に手を出してみるのも面白いかもしれない。私はそれで成功したクチだ。

GARDEN SHED(ガーデンシェッド)

新宿に居を構える、プログレ・トラッド&フォーク専門店。
ジャンルが限定している分、その品揃えはすごいの一言。古今東西の様々なアイテムが集められており、その全てにコメントが入っている力の入れようには脱帽。

私のようにDream Theaterから入ったような半端者の自称プログレマニアなど、迷宮に迷い込んだかのように知らないアーティストばかりの商品リストに目を回してしまうだろう。

ウェブ上でのカテゴライズが、ジャンル別ではなく国別になっている点も面白い。だが単なるマニア向けの懐古趣味に終わらず、新商品もすごい勢いで仕入れており、常に新勢力にも目を光らせている姿勢もマルだ。

会員制システムを取っており(もちろん会員にならなくても買い物はできる)、会員になると割引き、新作の先行予約、カタログ配布などの特典を受けられる。色んな意味でマニア向け。

Banana Record(バナナレコード)

名古屋発祥で、岐阜、神奈川、東京へも店舗を広げてきている比較的メジャーなお店。
とはいえ、基本は中古ショップ。品揃えにはやはり独自の色合いが見て取れる。

私は吉祥寺店しか見ていないので断言はできないが、全体的にダンスミュージックに強いという印象を受けた。ダンスミュージックと言っても幅は広く、テクノやハウスのみならず、レゲエ、ヒップホップ、ソウル、ファンク、ダブなどはこだわったラインナップを見せている。
もちろんロックやポップスなどの他、ブルース、ジャズ、クラシック、現代音楽に至るまで大概のジャンルは押えている。

コメントも大抵の品に入っているので、そちらにも目を通しつつじっくり買い物を楽しめる。

百年(ひゃくねん)

吉祥寺にある中古書店。あくまでも書籍がメインだが、CDやDVDなども取り扱っている。
数は決して多くないのだが、逆に自主盤だったり、極端に生産数が少ないような商品が置いてあることがよくあるので、思わぬ掘り出し物に出会う可能性がある。

近くに立ち寄るようなことがあれば、1度入ってみて損はないだろう。

ブックオフ

ここで紹介するには場違いな大メジャーの新古書店だが、店舗によってはかなり充実した品揃えをしているところもあるので侮れない。とりあえず私がこれまで足を運んだ中では、町田店、関内店、秋葉原店は相当に品揃えが豊富。意外な掘り出し物もあったりするので、マニアでも結構楽しめるはずだ。

ざっと駆け足で記憶を辿りながら紹介してみたが、店名が思い出せなかったりして、ここに挙げられなかったお店もまだある。それ以上にまだ知らないお店もきっとたくさんあることだろう。

冒頭でCDの売り上げが不振に喘いでいる話をしたが、限られた層にではあれどアナログレコードがまだ商品価値を持っていることを考えれば、CDも音楽ソフトとしての主流の座は明け渡しても、その寿命はまだ当分先の話ではないかと思う。