MANDOG最新作「GUITAR POP」がアナログ盤リリースされたという話を聞き、早速公開されている音源を試聴してみた。アシュ・ラ・テンペル(マニュエル・ゴッチング)の傑作アルバム「INVENTION FOR ELECTRIC GUITAR」を想起させる内容で、個人的には大好物である。
MANDOG – GUITAR POP
(※リンク先で試聴できます)
実際にMANDOGこと宮下氏本人に、特に現在のソロ形態に移行してからのMANDOGのパフォーマンスに対して、アシュラを始めとするクラウトロックの雰囲気を色濃く感じ取った旨を伝えたことがあるのだが、本人によればそれらはあくまで彼の音楽の下地の1つに過ぎず、実際には年代も地域もジャンルも実に様々なところから影響を受けているのだという。
この作品に寄せられたCANのダモ鈴木氏のコメントの方がよほど「現在の眼」で作品を捉えているので、一部を抜粋しておく。
敬一の音源にしても時代的感覚なんてどうでもよいことで十年前に聞かされたものでも未だに新しいし、今これから聴くのでも二十年経っても新鮮さが漂っているに違いない。これはその時の動きに納得しない職人気質の音源だ。
このダモ鈴木氏のコメントの要点は2つ。新しい感覚で作られているということ。それでいて時代の動きに同調しない職人気質であるということだ。その2点が何故に矛盾しないのかという話をし始めると、それだけでコラムが1本書けそうな勢いになるので割愛するが、私も基本的にこの意見に同調する。これはクラウトロックへのオマージュなどではなく、あくまでMANDOGの最新作なのである。
余談だが、B面のGONNOによるリミックスバージョンについて。
こちらも原作の魅力を損なうことなく、よりトリッピンで気持ちの良いサウンドに仕立て上げられているが、何度も聴く内に何故かこちらのバージョンの方がクラウトロック的なものに近いのではないかという印象を抱き始めた。
もう少し正確に言うなら、クラウトロックの巨人たちが、今だったらどんな作品を作るかと想像した時の音像に近いのがこちらのバージョンのような気がしたのだ。あくまで個人的な印象である。