前回、ulma sound junctionが「エマージェンザ」という世界36か国で行われている世界最大級のインディーズ・アーティストのコンテストで1位を獲得した話を書いた。そしてその優勝特典により、彼らはドイツで行われる「タウバータルフェスティバル」に出演することになった。
このフェスはエマージェンザの世界大会でもあり、ここで優勝すると2週間のヨーロッパツアーを行う権利を獲得できる。勿論費用は出してもらえる。で、彼らのライブがあったのが昨日。
結果は…3位!
優勝は逃したものの、3万人のオーディエンスが集まるというフェスでこれだけの支持を集めたのだ。やっぱり世界は彼らを受け入れたよ。そして3位になるとフェス中にもう1回ステージに立てるのだそうで、日本時間の今日、Zebraheadが出演する前の時間でライブをしているのだそうだ。Zebraheadを観に来たお客さんも十分に沸かせていることだろう。
欧米では大物アーティストのサポートアクトとしてツアーを回って名前を売るというのが、新人アーティストを売っていく為のスタンダードなやり方だと思うが、私はこのフェスで彼らを観た大物アーティストが「俺たちと一緒にツアーを回らないか?」と誘ってくる公算は高いと見ている。そうなれば単発での海外フェス出場という実績に留まらず、本格的に世界のバンドとして名を売っていくことになるだろう。
日本でもそういうのやればいいのにと思う。少しはあるんだろうけど、定着はしない。名の売れたバンド同士の対バンツアーとかは聞くけど、有名アーティストと一緒に同じサポートアクトが付いて行くってのは…。やっぱりお客さんの立場からすると見たいアーティストだけ出て来てほしいというのはあるだろう。私の周りにもそういう人はいるし、気持ちはわからんでもない。
ただ、目の前のお客さんの満足度だけを追求したビジネススタイルが、文化的な側面での音楽(正確にはロックなどのポピュラーミュージック)の発展の妨げになっていたことが時にはあったのではないかと思うし、本当に実力のある人達の芽を摘んでいたという事実もきっとあると思う。
エマージェンザのように音楽に順位をつけるという行為が正しいのかどうか、そこには議論の余地があるだろう。少なくとも無粋な行為であるというイメージを持つ人は少なくあるまい。私もそうだし。
ただ個人的な好みや感情は抜きにして、とにかく出場者に順位をつけ、上位に入ったアーティストにはそれ相応の特典があるという、こういうイベントがあることで、実力はあるのに大きなチャンスに恵まれなかったウルマのようなバンドがチャンスを掴めたことは事実だ。
なんにせよイベンターの人はウルマ呼ぶなら今のうちだと思う。来年にはもう呼んでも簡単には出てもらえないようになっているかもしれないから。