ulma sound junctionについて語らせてくれ

2019年7月6日、渋谷O-EASTにて、世界35カ国が参加するアマチュアバンドコンテスト「エマージェンザ」の決勝が行われ、ulma sound junction(以下ウルマ)が優勝を果たした。そしてその特典として、ドイツで行われるエマージェンザの世界大会「タウバータルフェスティバル」に出演することとなった。あまりに嬉しすぎて寝れなそうなので、ちょっと彼らについて語りたい。

長い雌伏の時

ウルマは、彼らを知る人達からはずっと「世界レベルのバンド」だと言われ続けてきた。文字にすると安い言葉になってしまうが、私を含めファンは皆、素直な印象としてそう語ってきたと思う。にも関わらず、ウルマは商業的にはイマイチ芽が出なかった。

曲が長い・歌詞が英語・変拍子が多い等…そりゃメジャーでは受けないかもしれないが、それを差し引いても余りある魅力は十分にあった。なのにどうして売れないんだろう?と思いながら、気づけば初めてライブを観た時から10年も経っていた。

ウルマが日本のインディーシーンの片隅に居てくれたことは、私のような人間には大きな幸福だった。プレイガイドで血眼になってチケットを入手しなくても行きたい時にライブを観に行けるし、ライブハウスで働いていた時はイベントにも出てもらえた。ただこっちは有難くても、本人たちにとってそれが良いのかどうかはわからない。

とはいえ、褒め言葉のつもりだったとしても「もっと上に行ける実力があるのに勿体ないなぁ」なんてことは言いたくない。彼らの幸福の形を、勝手にこちらの価値観で規定したり押し付けたりしたくない。多分彼らの周りにはそういう人達がたくさんいて、ずっとヤキモキしながら見守り続けてきたのだと思う。

幸いにも本人たちは「なんであんなショボいバンドが売れて俺たちは売れないの?」みたいに腐ることもなく、毎回楽しそうにライブをやっていた。変わらぬペースでライブをこなし、ゆっくりながら音源も作り、自主企画やワンマンライブもこなしてきた。そしてやっと大きなチャンスを手にした。それが我がことのように嬉しい。

ブレイクの予感

そしていよいよドイツ!である。
「ウルマが売れるとしたら、海外で売れて逆輸入形式でこっちに持ってくるのがいいのでは?」かつて本人たちともそんな話をしたことがあるし、きっと色んな人が同じことを言ってきただろう。だがそのチャンスが無かった。確か過去に韓国かどこかでライブをして現地を沸かせてきたことがあったはずだが、その後でドーン!とはいかなかった。でも今度こそはドーン!となるんじゃないかという予感がしている。

ウルマはこれまで日本ではあんまり売れてこなかった。日本のシーンにイマイチ合わなかったせいもあるだろうけど、あんまりガツガツした活動スタイルじゃなかったから、受け入れられる層にも十分に知れ渡っていなかったことが大きいように思う。

だが海外でドーン!となって鳴り物入りで帰ってきたら、まだウルマを知らなかった層にもどんどん知られていくだろう。リスナーの分母さえ増えれば、大ブレイクするかどうかはともかく、本人たちが音楽だけで食って行けるくらいにはなれると思う。

私はバンドにとって売れることが幸せなことだとは必ずしも考えていない。ただウルマにはもっと大きなステージが似合うと思うし、日本人だけで彼らの音楽を楽しんでいるのは世界の人々に申し訳ない。

仮に今のポジションのままだったとしても、彼らは「じーさんになっても続けて行く」と言ってくれている。ただ、その意志があることと実際にできるかどうかは別問題だ。「何でこんないいバンドが解散するんだろう…」という場面に、これまで何度遭遇してきたことか。その時になってから「もっと応援してあげればよかった」と思っても遅いのだ。私もこれを機に心を入れ替えて、もっと本気で彼らを応援していこうと思う。

まずは優勝おめでとう、ウルマ!!