手の中のLIFE@北参道ストロボカフェ(2017.02.04)

2017年2月4日。今日のイベント『手の中のLIFE』は、以前同じ職場で働いていたサイトウくんのブッキングで、北参道ストロボカフェでのお昼ライブ。出演者は3組。

ストロボカフェは代々木駅から歩いて行けるところにあるので、以前の職場とも近いが、行くのは今回が初めてだ。入ってみると予想通り洒落た感じの、アコースティック系のライブに向いてそうな会場だった。

Crahs”home party acoustic”

最初のバンドは「Crahs”home party acoustic”」。Crahsというバンドが元々あって、そのアコースティック形態ということらしい。編成はアコギ&ボーカル、サックス、ドラムの3人。

大変申し訳ないのだが、このバンドに関しては特に感想はない。ただ最後の「いいわけ」という曲の歌詞はなかなか良かったと思う。

うたたね

次は「うたたね」。今日は主に彼らを目当てとしてやってきた。サイトウくんが以前から「うたたね」のことをプッシュしていて、試しにとYou Tubeで動画を観てみたところ、それが非常に良くて気に入ってしまったのだ。

このバンドは引き算が非常に上手い。4人(アコギ、ピアノ、ベース、ドラム)がワーっと一斉に音を出すシーンというのは、この編成のバンドとしてみるとかなり少ないように感じた。勿論実際にはそれなりに出しているんだけれども、所々で誰かがスッと音を抜いて違う誰かの音を浮き立たせるシーンが目立ち、またそのアレンジもけれんみがなくて気持ちが良いのだ。

常々考えていたことだけど、バンドというものが抱える自己矛盾的問題点として、固定のメンバーと楽器があるということが挙げられる。勿論それらが無ければバンドなど始まらないのだけれども、常にそれぞれのメンバーと楽器に役割を与えなくてはならないという制約があるため(本当はそんな決まりはないのだが)、時としてお互い魅力を他ならぬバンドメンバーが殺してしまうということが起こりうる。

要は緩急と抑揚の話で、一曲の間ずっと音を出さないというわけにはいかないが、必要なタイミングで音を出し、必要な時に休む(休符も含めて音楽だと考えれば何もおかしい話ではない)ということが効果的に出来れば、それだけで魅力が倍増する音楽はたくさん存在すると思うし、少なくとも彼らはそういう音楽を作っている。

You Tubeで何度も聴いた「うつくしいもの」も聴くことが出来た。これはタイトル本当に美しい曲だ。この曲が生で聴けただけでも今日は来て良かった。

(追記:2020.12.13に解散しました)

ネス

トリは「ネス」。実はかつて働いていたライブハウスに何度も出演してくれていたバンドなのだが、自分のポジションの関係でライブを観ることが全然できてなくて、今日初めてちゃんと観た。

所謂ピアノトリオ編成。最初の曲では「品の良いシンバルズ」って感じかな?などと思って観ていたのだが(別にシンバルズが品がないという意味ではない)、先に進むにつれてそんな生易しいもんじゃないと気づいた。

ネスの音楽はある意味では「うたたね」と対極で、音が詰め込まれている上、思いもしないタイミングで変拍子が入ってきたりするもんだから、うっかりプログレ的などという言葉を使ってしまいそうになるけれども、やはりこれも歌ありきのポップスなのだろう。各パートの出す音は攻撃的と言ってもいいくらいなのだが、全体を通しての雰囲気は上品にまとまっている。

こういう時に自分が奏者でない為に言葉選びに苦しむのだが、これが歌に沿う演奏ということなのだなと思う。「うたたね」についての項で、バンドの抱える自己矛盾について偉そうに語りはしたものの、逆に言えば沿うべき「芯」を外さなければ、演奏のスタイルは如何様でも構わないのだということを、どこか似ているようで好対照の2バンドを続けて観ることで、再認識した。

まーあ、それにしてもネスの音楽は大人の雰囲気と大人気なさが同居してて圧巻だった。大人気なさというのは、まさしく私が語ったような小賢しい理屈を吹き飛ばすような、「これが楽しいんじゃ、グダグダ抜かすなボケカス」と言わんばかりの密度の濃い演奏のことだが。
なるほど彼らがトリを務めることで、今日のイベントの芯もしっかりしたものになったと感じた。

ネス_info (@ness_info) | Twitter

サイトウくん、ナイスブッキングでした。