海保けんたろー氏に訊く「オープンド・アーティスト・システムって何ですか?」

おわりに

この記事は、2011年1月下旬、メリディアンローグのウェブサイトでOASが発表されてから2週間ほど経った頃にインタビューさせていただいたものだ。

個人的にOASのアイデアは画期的であると感じたものの、まだ実態のないシステムということで、私はできるだけ悲観的な観点から質問をしていった。それに対し、海保氏はひとつひとつ丁寧に、その場の思い付きではなく充分に考えた上での構想を以て答えてくれた。OASが存在する音楽業界のビジョンはまだ想像がつかないが、少なくとも彼の話しぶりに私は「本気」を感じ取った。

このインタビューから間もなく、メリディアンローグはOASを普及・運営するための法人「株式会社ワールドスケープ」を設立した。海保氏は代表取締役社長として、メディアからの取材やUSTREAMなどを通じて新しい音楽業界の青写真を語りながら、精力的にOAS普及のために活動している。

そしてつい先日の3月8日、メリディアンローグがOASを通じて最初の楽曲配信を行った。タイトルは「ブランニュー・スタート」。メリディアンローグの音楽性について語るのはこの記事の主旨ではないので省くが、この曲の歌詞はまさしくOASそのもの。それを生み出すに至った背景と、今後への期待がこの歌に集約されている。

革命を起こすのは並大抵なことではない。でも彼らは本気だ。革命は本気の人間にしか起こせない。期待して見守りたい。

後日追記

  • オープンド・アーティスト・システム は現在「Frekul(フリクル)」という名称に変更されています
  • メリディアンローグは2013年1月22日に「SONALIO」に改名しました

海保けんたろー プロフィール

海保けんたろー

1981年、東京都出身。
榎本吉高氏にドラムを師事、2004年(22歳)よりプロとしての活動を開始。キマグレンや石田ミホコなど数々のアーティストのサポートドラマーとしての活動の傍ら、バンド「SONALIO」のドラマーとして活動し、2008年にユニバーサルミュージックからデビューした。

2011年2月、OASの普及を主な目的とした法人「株式会社ワールドスケープ」を設立し、代表取締役社長に就任。
音源配信サイト「Frekul(フリクル)」を運営し、音源を無料配信しつつ収益化を図る音楽活動を行っている。